タイの高校

【日本の高校との違いは?】タイの高校の卒業式ってこんなかんじ!

真夏に行われるタイの卒業式

4月…それは、タイ全土が一番暑くなる月。

国民全員夏生まれのタイ人ですら、「暑い暑い」と連呼している。

先日、高校三年生の卒業式が執り行われた。

日本人の私たちにとって「卒業式」とは、学校に通える最後の日、制服にそでを通す最後の日、友達や先生に会える最後の日…と、何もかもが最後の日。

卒業式後はクラスに戻り、担任の先生からお言葉をいただき、3年間の思い出に浸って涙する…そんなイメージだ。

しかし、タイの公立高校では、日本のようなあの「THE卒業式!」の雰囲気はない。

まず、卒業式が期末試験の前にある。

つまり、金曜日に卒業式をした後、翌週月曜日にはまた制服を着て学校へ来て、

何事もなかったかのように期末試験を受ける。明らかに順番が逆だ。

年によっては、期末試験最終日の午後に卒業式をする。

しかし、期末試験が終わって1時間後に卒業式だと、あまりにも慌ただしいため、近年は期末試験の前に卒業式をすることが決まったらしいが…

なぜ卒業式だけの日を設けないんだw

運動会は3日間もあるのにw

さらに、卒業式から1か月後、また制服を着て、学校に成績表をもらいに来る。

日本だと、卒業したらもう制服は着ないよね…?

 

卒業式の日の流れ

今年の卒業式は3月12日(金)だった。

1時間目から3時間目まで(11時まで)は通常授業、そこから卒業式が始まる3時ごろまでは、自由時間。

3時間目が終わるとすぐに、机を教室の端に寄せ、女の子たちは床に座って、お化粧を始める。

普段はお化粧禁止だが、この日だけは先生たちも何も言わない。

みんなそれぞれ持ち寄ったメイク道具を貸したり借りたり、キャーキャー楽しそう。

お化粧もそこそこに終わったら、次は腹ごしらえ。

事前にオーダーしておいたマックとケンタッキーを大量に運び込み、みんなでがっつく。

 

クラスの男女比は2:8。みんな仲がいい。

タイ人は、信仰の関係で牛肉を食べない人が多いのと、イスラム教の生徒も何人かいるので、このようにみんなで一緒に食べる食事は、とり肉一択になることが多い。

食い散らかした跡。ごみを捨てたり、また後で食べる物は、袋に入れておいたりとかしようよ…w ↓

マックのチキンバーガーとチキンナゲット、ケンタッキーのチキンで床が埋まる。

タイの甘いアイスティーや、タピオカも大量に注文。

好きな音楽をかけながら食べたり、歌ったり、写真を撮ったり…卒業式が始まる3時まで、みんな思い思いのことをして過ごす。

そしてこの時間は、後輩が次々と卒業生に会いに来る。

後輩はみんな、花やぬいぐるみなど、プレゼントを持って来て、先輩との別れを惜しむ。

ハンサムな男の子たちは大変。後輩の女の子たちがワイワイ会いに来て、花輪やお手紙、ぬいぐるみなどを、どんどんもらう。

あっという間に両手いっぱいになるので、あらかじめ持って来ておいた袋に、次々と入れていく。

そうこうしているうちに、2時半になった。それまでクラスで遊んでいた子達が、一斉に1階に下りていく。

実は、彼らのメインイベントは卒業式ではなく、式直前にするパレードなのだ!

校舎から体育館までの道のりを、みんなで並んで練り歩く。両側には、後輩たち、先生がズラーッと並び、声援を送る。

時間にして10分たらずだが、この10分が、みんなにとって最高の思い出になるのだ。

 

パレードの始まりの合図は、吹奏楽部の演奏と、後輩の大歓声!

吹奏楽部が太鼓をドンドン叩いたかと思ったら、花道の両脇でスタンバイしていた後輩たちの黄色い声が、真夏の空に響き渡る。

炎天下でスタンバイしている卒業生たち↓

パレードの始まり始まり~!

花道を歩く卒業生は、みんな手ぶらではない。さっきの自由時間に、後輩や友達からもらったプレゼントを、たくさん抱えて歩くのだ。

プレゼントが多ければ多いほど、「人気者」の証。

プレゼントの多さは、最高のステイタスとなるのだ!

中には、この日のために、自分でぬいぐるみや花を買っておき、それを

「後輩からこんなにたくさんもらっちゃった!」というフリをして歩く子もいて、かわいい。

わかるわかる、どっさりプレゼントがある方が、インスタ映えするもんね。私がタイ人の高校生だったら、自宅にあるぬいぐるみを、一切合切全部持って来るに決まってる。

あれれ…誰かが近づいてくるぞ

等身大パネル!?誰がくれたんだ!?w

どうやってうちまで持って帰るんだ…!?w

首にかけるのは、花輪だけではない。おもちゃのお金やキャンディー、マシュマロで作った首飾りなど、なんでもかんでも首にぶら下げる。

その他にも、風船やバラの花、自分の背丈とそう変わらない特大ぬいぐるみをもらい、お父さんにトラックで迎えに来てもらう子もいる。

ちなみに卒業式の日は、朝から校門の前で、様々な業者が物を売りに来る。

そのほとんどが、花屋やぬいぐるみ屋、風船屋で、ターゲットは先輩にプレゼントをあげたい後輩たちだ。

業者は呼び込みに熱が入る。

「先輩にバラの花をあげたい人~!10本買ったら2本おまけだよ!」

「先輩のイニシャルの風船はいかが~?今ならリボンの色が選べるよ!」

「ぬいぐるみは、テディベアもドラえもんもミッキーも、全部あるよー!」

後輩はみんな、少ないお小遣いから先輩のためにプレゼントを買って、パレードでお目当ての先輩が来るのをドキドキ待つ。

さっき教室まで行って渡せなかった子たちの、最後のチャンスだ!

今年は、おでこに金を付けている子がとても多かった。去年まで誰もしていなかったから、今年のトレンドなのかな!?

みんなたくさんもらったね!それにしても、みんな嬉しそう。

パレードが終わった卒業生達は、プレゼントや首飾りなどはすべて体育館下にある食堂に置き、その足で体育館へ行く。

いよいよ、卒業式が始まる!

体育館に卒業生が集まった。

卒業式は、参加したい先生だけが参加し、在校生も来賓の方々も誰もいない。

まずは学年主任が、パレード後でテンションが上がりきってる生徒に、渇を入れるところから始まる。「おいコラうるせぇだろがぁ!!静かにせんかい!!」と叫び散らかす。

だんだんと静かになってきたところで、担当教師がわざわざ校長室まで校長を呼びに行く。

これが不思議でならない。卒業式が始まる時間を知っているんだから、校長も自分で来ればいいのに…。電話で呼ぶのではなくて、わざわざ徒歩で呼びに行く。

待っている間、生徒も退屈そう。

しばらくして校長先生が、後ろに教頭先生3人を引っ提げてやってきた。

体育館の入り口に校長先生が立つと、司会進行の生徒が「校長先生、入場です!」とマイクで呼びかける。

すると、卒業生一同、すぐさま起立し、モーゼの海がパックリ割れるシーンのように、生徒がババッと両側に動き、一瞬で真ん中に校長専用の道が出来上がった。そこをトコトコ歩く校長先生。3歩後ろをついて歩く教頭先生たち。

主役の卒業生は床に座り、教師はパイプ椅子に座り、校長先生は一番前にあるフカフカのソファーに腰掛ける。

ここから、校長先生→教頭先生→学年主任の順番で、卒業生に言葉を贈る。

言葉をいただく前後には、必ずこのように手を合わせ、深々と頭を下げる。

「ケッ、やってらんねーよ!」みたいな子は一人もいない。不良の男の子達も、きちんと頭を下げる。

先生たちの言葉が終わった後、生徒は教えてもらった先生の前に行き、「サーイシン」と呼ばれる木綿の白い糸を手首に巻いてもらう。

サーイシンとは、仏教のお守りのようなもので、「幸運が訪れるように」「悪いことから身を守ってくれるように」といった願いが込められている。

サーイシンを巻いている間、先生は生徒に言葉をかける。

「大学でもがんばってね」「たくさん勉強するんだよ、怠け者になるんじゃないよ」「いつもその笑顔を忘れないでね」などなど。

生徒のプライベートを熟知している先生の場合、「お父さんの再婚相手とうまくいかなかったら私に言いなさい、一言言ってやるから」「お父さん仕事見つかった?」「あなたの親戚、アヒル料理のレストラン持ってるわよね?食べたいから場所教えて」

など、もう卒業式は関係なく、ただの世間話になっている。

ここまで終わったら、先生はもう帰ってもいい。卒業生だけ体育館に残り、各クラスごと作った卒業ムービーをみんなでワイワイ見る。

みんな、3年間の思い出が蘇るのか、抱き合ったり手をとりあったり。夕方まで、楽しい時間は続く。

そして、3日後の月曜日…期末試験を受けに、また全員教室に集合する。

何はともあれ、みんな、卒業おめでとう!!

 

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